透析療法合同専門委員会委員長からのご挨拶
透析療法合同専門委員会を代表してご挨拶申し上げます。
日本透析医学会統計調査委員会が毎年まとめている『図説わが国の漫性透析療法の現況』によると、2009年12月末の段階で290、675名の末期慢性腎不全患者さんが透析療法によって生体の内部環境の恒常性を維持し、日常生活を全うしています。このような透析療法の歴史は、1861年のGrahamらによる透析原理の発見、1913年のAbleによる現在の中空糸型人工腎臓につながるような形状の人工腎臓を用いたウサギ実験に遡ることができますが、臨床応用は、それほど昔ではなく、1945年にKolffが回転ドラム式コイル型ダイアライザ(セルロース系膜)を用いた血液透析によって世界で初めて急性腎不全患者の救命に成功したことから始まります。
この分野は、血液浄化のための器材、様々な合併症治療薬、バスクラーアクセスなど、どれをとっても半世紀の間に実に目まぐるしい進歩を遂げております。この先人達の2006年頃までの足跡と功績は、恩師の一人の太田和夫先生が『透析医療の歴史』(MCメディカ出版、大阪、2008)において、ご自身の豊富な経験を交えながら卓越した文章力でまとめられています。皆様においては是非とも参考にして頂きたいと思います。
透析療法合同専門委員会の歴史は、皆さんもご存じのように臨床工学士という国家資格が無い時代でありました1973年から始まり、「透析技術認定士」認定試験実施のための具体的な準備作業は、1979年4月に太田和夫先生が同委員会の二代目委員長となり,事務局を先生の執務室に移したころからが出発点になります。私は、1980年3月16日に 第1回透析技術認定士試験が実施された頃から、この事業に関与させて頂いていましたが、2008年6月に3代目の同委員会委員長を拝命し、今日に至っています。この間に、私は委員長の定年制や更新制度の導入など、長い間の懸案をまとめて処理させて頂きました。
なかでも透析技術認定士の更新制度は、最重要課題でしたので、特に力を注ぎ、2011年から導入することが決定されています。これを契機として、透析療法合同専門委員会のホームページも設置することにいたしました。このホームページが透析療法合同専門委員会からの情報の掲示板であることは当然ですが、同時に透析技術認定士の情報交換の場として、相互連携の場として、患者さんの思いに真っ先に対応する医療従事者の集いの場として利活用されること願っています。
昨今のめざましい技術革新は、臨床工学士、透析技術認定士に対する国民の期待の更なる高まりへと続いています。それは透析液の水質管理、バスクラーアクセスと血液浄化装置との着脱業務という新たな流れからも明らかに感じることができます。これらの要望に応えるためにも適切な認定制度と更新制度は欠かせません。今後は私たちもe-learningの導入、使用される教科書の電子化なども検討してゆきたいと考えております。
皆様のご支援、ご厚誼が不可欠です。今後とも何卒、宜しくお願いします。
透析療法合同専門委員会
委員長 佐中 孜
東京女子医科大学東医療センター
